4月25日付、繊研新聞のコラム。
ひと月遅れで発信しています。
新年度からは「繊研教室」にコーナーが移動し、サイズがでかくなりました。
全国的に広がりを見せている「ジェンダーレス制服」。
男性服のボタンは右前、女性服のボタンは左前という、明治期に洋服が日本に入って来たときから、ルールとして残っている。
そう、女子のお洋服のボタンは左前。
どっちでもイケる。
って、そもそも、なんで男女でボタンの合わせ位置が違うかっていうのは、もお、お洋服の歴史は女子の立場の歴史。
ヨーロッパでも19世紀末まで、女子は男の庇護のもとに暮らす生き物で、家の中でおとなしくしているのが理想とされていました。
まあ、貴族の話だから、一般庶民の女子、めっちゃ働いてたはず。
で、日本では幕末の頃、ヨーロッパの女子もスポーツに目覚めて、ダーリンにお願いして乗馬やテニスなんぞ楽しむ奥さまが増えてきた。
すると、商魂に燃えた洋服屋さんが女子用のボタン付きのスポーツウェア作るようになって、商売繁盛。
でも、ボタンって右利きには、右前がボタンが掛けやすい作りになってる。
人類の8割以上は右利きだよ。
女子だって、右利きが圧倒的じゃないか。なのに、左前。
それはね、貴族の奥様は自分でお洋服を着ないのよ。メイドさんが着せてくれるの。
男は自分でシャツを着るけど、奥さまはメイドさん。
で、メイドさんが着せやすいのは反対側の左前。
女子のボタンはこうして左前になったという、一番有力な説です。
でも、たかだか150年ぐらいの歴史だね、女子のボタン左前。
ココ・シャネルが女性をコルセットから解放させるべく作ったシャネルスーツ。
あのときに、ボタンも右前にしていればよかったのかもしれない。
大きく変わったように見えても本質的な所って、変わってなかったんだな、って思う。
これからまた本質的な所を嗅ぎ分けた若者が変えていくのかもしれない。
どうでもええってことかも知れないけれど、とても大切なことかも知れない。
で、ワタクシは右利きだが実は左手も結構使える派。
ペンの練習はしていないが、テープを貼るとかボタンを掛けるとか単純な作業は両手を違和感なく使えるので、個人的にはボタン、どっちでもいい。
ワタクシ事でした。
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